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古いホームページの発掘と復元
——出番、と、いいますと……。
煙岡いまは見られなくなってしまった昔のホームページの中で、これは! という歴史的価値の高いものや時代を象徴していると思えるもの、将又、ユーザーの皆さんからのご要望が多いものを厳選して、それらのホームページを完全な形で再現・復元をしようというプロジェクトです。
——なるほど。同じ古いホームページの保存、復元であっても、御社では選択と集中を行った後に完全な形で実行すると。
杵築沢そういうことです。
煙岡残された手掛かりを集めて組み合わせ、嘗ての姿を再現する……これって、考古学的じゃありませんか? 遺跡や化石の発掘、復元に似ていると思いませんか。
——ああ! それで「web考古学」なわけですね!そういえば社名のジョレンワークスというのも考古学に関係ある言葉だと聞きました。
杵築沢鋤簾、ですね。
煙岡土を掘り返す鍬みたいなやつですね。インターネットの歴史を掘り起こそうという思いを込めて付けました。
——なるほど。こうして比べてみると「wayback machine」との違いがよくわかります。「wayback machine」には歴史を掘り起こすという感覚はありませんものね。
煙岡「wayback machine」がやってることって、たとえるならば、ある時代の世界の姿を1/10000スケールでジオラマ化するようなことだと思うんですよ。だからどうしても細かい部分は切り捨てざるを得ない。対して我々のほうは、ひとつの建物を1/1スケールで復元しているようなものです。だから、細部に至るまで復元をすることが可能なんですね。
杵築沢向こうが恐竜図鑑を作ってるとしたら、ウチは恐竜の化石の発掘をしてるようなもんだよな。
煙岡うんうんうんうん。そうやって違いを見ていっていただければ、当社のオリジナリティがおわかりいただけると思います。
業績は極めて順調
——業績のほうは如何でしょうか。
杵築沢お陰様で上々です。
煙岡今年の5月で創業から丸4年が経ちましたが、年々売り上げが増加しています。昨季、売り上げ高の伸び率が前年比で250%を超えました。
——どういった形で収益を上げているのでしょう。
煙岡一番の柱は、まずは復元・公開したホームページに貼付した広告による収入ですね。これが収益全体の約4割を占めていす。
——復元するホームページはどのようにして選択、決定なさるのでしょう?
杵築沢最重要視するのはユーザーからの意見ですね。
煙岡ウチのサイトやFacebook、twitter、tumblrといったSNSアカウントで常時、アンケートを募ってるんですね。復活して欲しいホームページ、もう一度見たいホームページはありませんか、と。その動向を見ながら社内で検討を重ねて決定します。
——そうしてGOが出たら動き出す、と。
杵築沢まずは関係各位に調整を付けるところから始まります。
煙岡まずはアンケートの結果を持ってスボンサー企業を回ります。人気のホームページの場合ですと、数万単位で票が集まりますから、それを持っていくと資金繰りの交渉もずいぶんやりやすくなりますよ。そうして広告の出稿を募って資金を集めます。
——しかし失礼ながら、数万の票数や意見ででスボンサーが動くものなのでしょうか? 大きな金額が動くにはちょっと少ない数字のように思います。そもそも投票する人は、昔のホームページを知っている人に限られるでしょうし。
杵築沢あの頃とは時代が違いますから。
煙岡その数万というのは基礎票なんですよ。
——基礎票?
杵築沢だから、あの頃とはネットユーザーの数が全然違うでしょ?
煙岡つまり、私たちが復活を計画するホームページというのは、まだインターネットユーザーが少なかった時代に運営されていたものであるにも係わらず、万単位のファンが付いていた、ということになるんですね。そこに時代の変遷によるユーザーの増加分を掛け合わせると……。
——数万の得票が何倍にも膨れ上がるわけですね。
杵築沢昔といまとでは、インターネットユーザーの母数が違うということです。
煙岡加えて、インターネットにアクセスする手段も、PCの一択に限られていたものが、いまではスマホやゲーム機など1人が複数の手段を持っています。
——たとえ数万といえども、スポンサー企業に対する訴求力が産まれるわけですね。
杵築沢それに、昔、受けたホームページはいま見せても受けますし。
煙岡そうなんです。あの頃に面白かったホームページって、いま見ても面白いんですよ。
——それは、過去の名作映画を見たり、青空文庫に入っている名作小説を読むような感覚なのでしょうか?
煙岡そうだと思います。時代を超えた面白さがあるんでしょうね。図らずも時代の空気を切り取って、封入しちゃってある、みたいな。
——発掘、復元するのはやはり企業が作ったページが多いんでしょうか?
杵築沢いや、少ないですね。
煙岡むしろ個人のページのほうが多いですね。これまでに最も多く復元したのは、西暦2000年前後のテキストサイトです。
——先ほども少し話しましたが、テキストサイトが流行ったとき、ちょうど私は大学生で……いやあハマりましたよ。人気のあるサイトは”大手”なんて俗称されて。
杵築沢うんうん、その次が”中堅”でね。
——いまのブログやSNSのようにテキストだけではなくて、HTMLからちゃんと打ち込んで。うわあ、懐かしいなあ。
煙岡あなたのページも人気があったんですか?
——いえいえ全然。大手と呼ばれるサイトを横目で見ながら、僅かなアクセスの増減に一喜一憂してました。一年半ぐらいやって、結局アクセスカウンターの合計が一万まで行かないという(笑)
杵築沢でも楽しかったでしょう?
——楽しかったですね。いまこうして編集の仕事をしているのも、あのときホームページを運営した経験があったからだと思います。表現や発信をする楽しさを知ったといいますか……。
杵築沢つまりはそういうことなんです。
——は? そういうこと……?
煙岡あの頃のインターネットは”始まりの世紀”だったんですよ。あなたがサイトを運営することによって「編集」というご自分の進むべき道を見つけられたように、いろんな人がインターネットに触れることで人生の扉を開き始めた、そんなことがあちこちで起こっていたんですよ。そんな、”新しい何かが始まった”ときの新鮮な気分が凝縮されているのが、あの頃のホームページであり、あの頃のインターネットだったんじゃないでしょうか。
杵築沢そういう、時代の痕跡となるものは、やっぱり発掘してでも残しておくべきでしょう?
——なるほど。
煙岡"時代の空気"を残していくことが、文化ということなんじゃないでしょうか。
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