インターネットは、"人"をコンテンツに変える装置
ーーでは、そうした作品・コンテンツに変わるものというのは……。
農馬CTO「人」、ですよね。
ーー人の存在そのものである、と。
農馬CTO先ほども少し触れましたが、人の姿がインターネットでは一番面白く見えるんです。人の存在そのものがコンテンツとして存在しているんです。
ーーすると、例えば挨拶のような何気ないつぶやきも、それを見る誰かにとってはコンテンツになっていると。
農馬CTOあなたが「おはよう」と何気なくつぶやきますね。それを目にした誰かが挨拶をリプライとして返す。その、リプライとして返した人は、あなたが発した「おはよう」に、面白味を感じているんと思うんですよ。面白くないものに人は反応しませんからね。挨拶を返すのが楽しいと思っている。これはインターネットでしか味わえない感覚だと思うんですね。だって、挨拶ですよ、ただの。それも、一度も会ったことがないような、縁もゆかりもない人がする挨拶です。本来ならば挨拶なんか返さなくてもいいんですよ、そんなよく知らない人に対して。
ーー確かに、そうしたリプライを送る場合、完全に楽しい気分になっていますね。それをすることが喜びになっているというか。少し、気分が高揚しています。
農馬CTOそうでしょう? ただの挨拶が、それを目にした人にとって「面白いもの」「楽しいもの」として映る、つまりはコンテンツ「の、ようなもの」として映るんです。だからリプライを送りたくなる。自分もその「面白いもの」「楽しいもの」に参加したくなる、いっちょかみしたくなる。これは挨拶に限りません。誰かがする発言の全てがそうなります。全てがコンテンツ「の、ようなもの」として、面白いものとして映ってしまう。それはなぜか。やはり「人」がコンテンツになってしまうからなんですね。
ーーでは、例えばこのインタビュー記事をお読みになった人が、SNSで一言「面白かった」あるいは「つまらなかった」という感想をつぶやくとします。その一言の感想すら、それを目にした別の誰かにとってはコンテンツになってしまう、とも考えられるのでしょうか。
農馬CTOその通りです。インターネットというのは、人間の行為を全て、コンテンツにしてしまうんです。インターネットとは、人をコンテンツに変えてしまう装置なんですね。
ーー人をコンテンツに変えてしまう装置、ですか。
農馬CTO誰かがアップしたつぶやきや動画といったもの、つまりは誰かの振る舞いの全てが、誰かの目にはコンテンツとして映っている。少し意地の悪い言い方をすれば、「人」がネット上のコンテンツとして消費されているんです。
ーーコンテンツは消費されるものですからね。
農馬CTO先程言ったように、インターネットはフラットな世界です。送り手と受け手が同列に存在しています。そういうフラットな世界で、誰かの存在をコンテンツとして消費するということは、その自分もまた誰かにコンテンツとして消費されることでもあるんです。
ーーなにやら「深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込んでいる」というニーチェの言葉みたいですね(笑)
農馬CTO誰かを見て面白がっているあなたの姿もまた、別の誰かに見られて面白がられている。それが無限に連鎖してゆくのが、インターネットなんです。その要素がダイレクトに表現されるSNSが隆盛となり、今の世の中に定着するのは当然なんです。人が集まる場所ということは、コンテンツが無限に生み出されてくる場所ということに他なりません。
ーーなるほど。だからみんな、SNSから離れられないんですね。コンテンツが無限に生み出されるわけだから、止める暇がない。
農馬CTOさらに言えば、コンテンツとして面白がられて消費されるということは、人間の持つ承認欲求が満足されることにもつながってきます。
ーー見ることと見られることが同時に満足させられるのですから、これはみんなはまりますね。歩きスマホや自転車スマホが減らないわけです(笑)
農馬CTOで、そこにビジネス・チャンスがあると我々は考えたわけです。人を商材にしてしまえる空間だぞインターネットは、と。インターネット上で一番価値のあるコンテンツは人間だぞ、と。ならば集めて売ることもできるだろう、と。それが自然だろう、と。
ーーとはいえ、やはり、大胆です。危険と言ってもいいかもしれません。
農馬CTO自分でもそう思います(笑) 普通に考えたら、アウトな発想ですね。
ーーアカウントを販売するということは、人身売買と同様のことだと思います。
農馬CTOそうしたご批判は、サービスを発表した直後からありました。でも、考えてみてください。インターネット以外の世界では、意外と当たり前に繰り広げられていませんか、そうした人身売買的な光景が。
ーーいや、人身売買は法律で禁止されていると思いますが……。
農馬CTOプロ野球のドラフト会議なんてそんな感じじゃありませんか。あれって、有能な選手に値段をつけて球団が買い取るわけですよね。つまりは合法的な人買い風景でしょう。
ーーああ……。
農馬CTOあなたの野球選手としての価格はこのぐらいですよ、というのが契約金じゃないですか? 私にはあの契約金というのが、選手につけられた値札に見えて仕方がないんです。
ーーうーん。
農馬CTO際どい話題ですからお返事を濁していただいても一向に構いません(笑) しかし現に、その合法的な人買い風景であるドラフト会議が世間の注目を集めています。数年前からは、ドラフト会議の会場に一般の野球ファンを招くなど、ショー化の方向にすら進んでいます。
ーー仰る通りですね。しかも日本の場合、指名が競合すると、くじ引きをしちゃいますしね。あれは面白すぎます。才能ある若者の前途を、他人がくじで決めちゃうんですから。
農馬CTOつまりは、みんな、好きなんですよ。人をコンテンツとして面白がって見ることや、無責任に消費してしまうことが。炎上している話題についてあれやこれやと意見をしているアカウントから立ち上ってくる、あの楽しそうな感じといったらないでしょう。あれは、完全に娯楽を楽しんでいるときの姿ですよ。
ーー「他人の不幸は蜜の味」ですか……確かに、そこにはビジネス・チャンスが転がっていそうですね。面白いものに人は集まりますから。
農馬CTOチャンスどころか、金鉱脈ですよ。それも、SNSに人が集まる限りは自動的に金が掘り出され続け、枯れることがない鉱脈です。我々は、その鉱脈から上がってきた石を金に精製するだけでいい。
♦関連サイト
▸ 人間交差点〜Human Crosspoint〜
新着記事
▸ | Flash Playerに呑気な脆弱性。Adobeも呑気に対応 |
▸ | amazon、「プライムビフォー」開始。買う前に商品が届く。押し売りとの批判も |
▸ | ソフトバンク、「2年縛り」に変わる「7年殺し」開始。他2キャリアも追従へ |
▸ | 政府、小学生以上のSNS義務化法案を提出。国民生活を監視できると本音ぽろり |
▸ | 携帯大手3社、格安SIMを「適正料金を払えない貧乏人が使うもの」と発言 |
記事ランキング
1. | 平成生まれに教えるWEB歴史学:フォントいじりってなぁに? |
2. | 連載コラム:田母神としおの経済教室#17「かしこい使途不明金の利用法」 |
3. | デジタル覚書:AbemaTVはNOTTVの夢を見るか |
4. | 乙武さんvsホーキング青山vsホーキング博士!電動車椅子による障害物競走! |
5. | エイブリルフールに嘘をついた企業が販売する商品の不買運動が活発化「滑ってるから」と |
6. | 清原、ASKA、清水健太郎、歌のおにいさん、CCBの人、etc...の姿を集めたLINEスタンプ登場 |
7. | 小倉智昭、キダ・タロー、号泣議員、etc...たちのすっぴんを集めたLINEスタンプ登場 |
8. | デジタル子育て相談室:娘がユーチューバーになると言って高校を辞めてしまいました |
9. | プロ野球、横浜DeNAが来期監督に人工知能ボナンザを招聘 |
10. | 教えます!鍵アカを突破する究極の裏技! |