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発掘、復元作業はアナログ
——しかし発掘や復元の作業は大変じゃありませんか? 「wayback machine」で頻発しているように、画像やCGIの欠落などが多いでしょうし。
杵築沢そこはアナログです(笑)
煙岡地道に手作業でやりますね。考古学の発掘作業に重機を入れないのと同じです。
——ああ、なるほど。
煙岡個人のホームページの場合、既に閉鎖や削除がされていることが殆どです。URLアドレスについては「wayback machine」などで比較的容易に見つけられるのですが、欠落した画像については本当に手作業で探すしかありません。
——具体的にどのようにされるのでしょう。
煙岡まずはホームページの作者……当時の言葉でいえば管理人の所在を突き止めるところから始めます。
——見つかるものなんですか? いまから、十年以上も昔に作られていたホームページですよね?
煙岡ところが意外と簡単に見つかるんですね。多くの管理人は、現在も同じハンドルネームでSNSで活動していることが多いんですよ。
杵築沢ハンドルネームが通り名のように機能しているんでしょうね。
——なるほど。ネット歴が長いと自然とそうなるでしょうね。
煙岡それに我々は公序良俗に反したページは取り扱いません。したがって、コンタクトを図る相手は、身を隠す必要がない方ばかりなんです。皆さん、積極的にお話を聞いてくださいますよ。
——管理人の皆さんにしても、自分の作ったものにいまいちど光が当たるのは、けして嫌な気持ちにはならないでしょうしね。
煙岡でしょうね。で、そうしてコンタクトが取れたら、我々の趣旨を説明してホームページ復元の可否を確認します。可というお返事を頂けたら、必要な契約を締結します。その時点で管理人さんの手許にHTMLその他のファイルが残っていればご提供を頂きますし、残っていなければ「wayback machine」なども参考にしながら、復元の作業を当方が主導して行います。その際に不足や欠落している画像があれば、管理人さんに「ここにはどんな画像が使われていたか」と尋ねていって、ひとつひとつ丹念に復元していきます。
——本当に手作業なんですね。
杵築沢我が事ながら、とてもIT企業がやることとは思えません(笑)
——しかし手作業ではどうにもならない問題もあるのではないでしょうか? たとえば管理人さんがレンタルCGIを使用している場合などはどうするのでしょう。
煙岡仰るように、当時CGIや掲示板については、管理人がレンタルしていることが殆どでしたね。現在もそのCGIが提供されていれば新規にリンクを張り直しますし、すでにサービスを終了したものであれば、復元したページに注釈を入れておきます。
——どのような注釈を入れるのでしょう。
煙岡リンク先に「ここには○○社が提供していたレンタル掲示板、レンタルアクセスカウンターが設置されていました」といったページを追加しておきます。本当はこれらも復元したいんですが、それはさすがに無理なので(笑)
杵築沢そこまでやると、インターネット全部を復元しなくちゃいけなくなりますから(笑)
——そうして復元されたものを「webアーキオロジー」で公開するんですね。
煙岡ええ。それと解るように新たな広告バナーなどを付け加えて、ウチのサーバーで公開します。
——アクセス数の状況は如何ですか。
杵築沢結構来てますよ。
煙岡先月(2014年5月)に公開した「無気力な火星人(遺伝子組み換えでない)」という、1999年から3年間運営されていたテキストサイトですが、こちらの場合で平均42万/日ぐらいのアクセスがあります。
——それは大変なアクセス数ですね。
杵築沢テキストサイトの時代には考えられなかったような数字ですよ。
——当時だったら充分、大手と呼ばれていたレベルです。こちらのホームページは当時から人気があったんでしょうか?
杵築沢いや、そうでは無いですね。
煙岡どちらかといえば、知る人ぞ知る的な感じだったんじゃないでしょうか。とはいえ、復元希望のアンケートでは常に上位に入っていたんです。フィクションとノンフィクションの間を行き来するような、不思議な魅力のあるテキストが詰まったホームページです。
——他にはどういったページを復元されてますでしょうか。
杵築沢リンク集が多いね。
——リンク集?
煙岡テキストサイトの流行より更に以前、まだ検索サイトがいまのように発達していなかった頃に個人が作っていたリンク集です。1997、98年頃に作られていたものでしょうか。
——インターネットの黎明期ですね。
煙岡ええ。ただリンク先が並んでいるだけのページです。しかも、まだ世界的にもwebサイトの数が少なかった頃ですから、大企業が作っていたページへのリンクが並んでいるだけで。
——そういえば、当時のHTMLの解説書にはそのサンプルとして「リンク集を作ってみましょう」という内容がよく書かれてありましたね。
杵築沢ホームページを作るにしても、参考にできるのがYahoo!ぐらいしかなかったんですよ当時は。
煙岡そのYahoo!も当時はまだリンク集の色合いが濃かった時代ですから。それを真似れば当然、リンク集を作ってみよう、ということになりますよね。
——しかしこうして嘗てのホームページを改めて見てみると、シンプルなことに驚きますね。
杵築沢でもこのシンプルさが、ちょっと可愛くないですか?
——ええ。確かに。
煙岡技術的には殆ど見るペ気ところはありませんが、それでも「なんだかわからないけど面白そうだから作ってみた」みたいな雰囲気に溢れているような気がしませんか?
——新しい遊び場を見つけたときの子供のような、闇雲な喜びにあふれている感じがします。
杵築沢もういまのインターネットにはなくなっちゃった感覚だよね。
煙岡うん。個人のFlashアニメが盛り上がってた頃が最後だろうね、この手の”なんだかわからな”面白さ"、があったのは。
杵築沢秘密基地の面白さだよな。場所からルールから、自分たちでつくっていくという。
——ニコニコ動画の時代になると、ちょっと印象が変わっちゃいますものね。
杵築沢ああいう風に整備された場が用意されちゃうとなあ、利便性は高まるけど、秘密基地の楽しさはなくなりますよね。ま、それは時代の要請で仕方がないことなんだけど。
煙岡できたらあの頃の……ニコ動やYouTubeが伸びてくるちょっと前、西暦2006年ぐらいまでのFlashサイトも復元出来たらいいんですけどね。
——是非おねがいします! もういちど見たいアニメがたくさんあります!
煙岡ただ、あの頃の個人Flashは著作権に問題があるのが多くて(笑)
杵築沢いま、ビジネスとしてやったら一発で会社が潰れるような危険物ばかりですよ(笑)
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