IT業界で雄々しく活躍する"人"にフォーカスした情報サイト【IT・人】
ITの発達によって時代の潮流は急激に変わった。わずか五年前のことを思うだけで隔世の感を覚える。
このある種、急峻に過ぎるとも言える変貌を、AK文庫ライトノベル文学賞作家にしてコンビニ店長の轡田健人氏は「産業革命以来、最大のパラダイムシフト」と評した。
時代の潮流は新たな需要と産業を作り出した。だが、そうした新たな時代の潮流に乗る者がいる一方で、その変化に翻弄され、流されていってしまう者も現れてくる。
ここでは、そんな時代の潮目に押し流されそうになりながらも、時代という魔物に必死に食らいついている"人"の本音を、酔わせてしまうことで大胆に聞き出していく。
【国松アレクサンドラ隆夫，IT・人】
■まずは乾杯から
—— では、まずお話を伺う前に乾杯といきしましょうか。
音楽Ｋ社 お、いいですね。何に対して乾杯をします？
著作権Ｊ社 そりゃあ、我々の輝ける未来に対して、でしょう！
書籍Ｓ社 おお、ずいぶん前向きですね（笑）
著作権Ｊ社 いまの時代、ただでさえ我々は虐げられてるんですよ。こういうときこそ前向きにいかないと！
音楽Ｋ社 そうそう！ いくら時代が変わろうとも、我々が日本の文化を取り仕切っていくんですよ、これまでのように！
—— では、そう決まったところでどなたに乾杯の音頭を取って頂きましょうか。
音楽Ｋ社 そりゃあＪ社さんでしょう！
書籍Ｓ社 そうそう。ネット社会にあって、包括的に我々を守ってくれてるんですから。
—— それではＪ社さんに乾杯の音頭をお願いいたします。
音楽Ｋ社 いよっ！ 我々の守り神、Ｊ社！（笑)
著作権Ｊ社 それでは……はなはだ千円札ながら、
書籍Ｓ社 あーあー、オヤジギャグだあ（笑）
音楽Ｋ社 ネット世代の若い連中にはこの良さは判らないだろうね（笑）
著作権Ｊ社 もとい……はなはだ僭越ながら乾杯の音頭を取らせて頂きます。我々の輝ける未来に、乾杯！
一同 かんぱーい！
■新たな時代への対応
—— それではここから本題に入っていきたいと思います。まずは、現在、全般的に苦境と言われているコンテンツビジネスの状況に、果たしてどのように対応されているのかを伺いたいのですが。
音楽Ｋ社 うちは、というかＣＤレーベル全体がそうなってるけど、如何に付加価値を付けてＣＤを売っていくか、ってことに腐心してるよね。とにかく売らなきゃ始まらないし。
—— やはりこれからもＣＤをメインに販売していくと。
音楽Ｋ社 当然じゃないですか。パッケージ商品として手に取ることが出来る、これが消費者にとっていちばんの喜びなんですから。それにいま、突然、ＣＤが無くなったらディスクやケース、ジャケットを作っている方々や流通の皆さんがすっかり路頭に迷うことになっちゃいますし。
—— Ｓ社さんも頷かれてますね。
書籍Ｓ社 ええ。それは私たち書籍の世界でも同じことですからね。加えて書籍には再販売価格維持制度という絶対に守るべき崇高な制度もありますからね。
音楽Ｋ社 何より大切なことは、音楽も読書も、我々が販売しているのは作品だけじゃないということですよね。作品を手にするその体験を販売をしているわけだから。その観点から言えばＣＤに握手券を封入するのも我々の大きな取り組みですね。
書籍Ｓ社 あれはやられたなと思いましたよ。
著作権Ｊ社 まさに体験を提供するわけですもんね。音楽をデータとして、ネット越しに販売する形では絶対に無理。おまけといえばそれまでだけど、そういう付加価値が大事なんでしょうね、いまは。
—— 私も子どもの頃に、おまけのカードが欲しくて「プロ野球チップス」をよく買いました。
音楽K社 私も近所にあった小島屋って駄菓子屋でよく買いました（笑）
—— でもカードが目当てだから、肝心のポテトチップを食べずに捨てちゃったりするんですよね。そうやって内容はさて置いてもおまけ目当てに買ってしまうという。
音楽Ｋ社 ……（無視して中ジョッキのビールを飲み干す）
—— あれ？ 急に愛想が悪くなっちゃいましたね、Ｋ社さん。
書籍Ｓ社 Ｋ社さんの取り組みは立派な音楽体験のひとつですよ。握手をすることによってアーティストとの一体感が持てる、ユーザーにとってこんなに素晴らしいことはありません。更には近ごろ当たり前になったＣＤの初回限定版、あれも音楽業界の立派な試みですよね。
著作権Ｊ社 あれが定着してから、ＣＤ売り上げの初動が明らかに良くなりましたね。
書籍Ｓ社 あのプレミア感は素晴らしいですよね。ユーザーの購買意欲を上手に煽りますよね。
—— それだけに、初回限定版を逃すともう買う気にならなくなったりするんですよね。初回の特典がない為に、あとから買うと損をしたような気になりますから。
音楽Ｋ社 ……ビールおかわりいいですか。
—— どうぞどうぞ（笑）
書籍Ｓ社 そこへいくと書籍というのは弱いですね。書店では作家の握手会やサイン会などは古くから行っていますが、なかなかアーチストやアイドルのようには売り上げに直結しません。握手をしたい為に同じ本を何冊も買うということはまずあり得ませんからね。
—— しかし一部の女性誌ではいろいろなおまけをつけることで売り上げに繋げているケースも見受けられます。
書籍Ｓ社 はい。あの方向性の先に、書籍販売の未来が見えるような気がしています。やはり"体験"に繋がることが重要なんでしょう。
—— いまやそうした豪華なおまけのついた雑誌の売り場は、雑貨屋さんと見紛うような状態です。
書籍Ｓ社 おかげさまで、どの書店でも活況を呈しています。
—— ウチの編集部にいるアルバイトの若い女性も、そうした雑誌類をよく買っています。しかも「いっそ雑誌を無くしてそのぶんをおまけに集中して欲しい」なんてよく言ってますよ（笑）
書籍Ｓ社 ……（無視してジョッキのチューハイを飲む）
—— あれ？ Ｓさんも急に愛想が悪くなっちゃいましたね。
Vol.03 【4Kテレビに死角なし】
▶大手家電メーカー編Vol.02 【ネットに掠め取られた視聴者】
▶テレビ局員編
Vol.01 【まとめサイトにやれんのか!?】
▶四大新聞記者編
▶ 釣って釣られて釣られて釣って
▶ WEBお山の大将
▶ たのしいUNIX
▶ ゲームセンターやまあらし
▶【GoogleBuzzを探して】大村升太郎
▶【フリー良いとこ一度はおいで】池田勇人
▶【ITヨイトマケの歌】円山明宏
▶【イヤな奴はすぐブロック】池田信男
▶ 地雷男／地雷女を見つける探知器
▶ そろばんで計算する表計算
▶ 手動でカット＆ペーストする鋏と糊
▶ クラウドで管理するウォシュレット
▶ WindowsXP for Windows8
▶ 初音ミクPRO 68K
▶ Microsoft Word for NEC文豪
▶ Iモードエミュレーター for OS/2
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